ギターのはなし

弾きやすさについて(弦長だけで判断しない。)

弾きやすさというのはとても大切なことです。やたらと大きかったり、ゴツゴツしていたり、張力があまりにも強くて指を痛めるようでは困りますが、多くの方々が思い込んでいる「弦長」について考えてみましょう。

弦長ばかりを問題にしていませんか? かつて60年代、70年代、ホセ・ラミレスの影響が大きかったと思うのですが、弦長660mm以上でボディーも大き目のギターが数多く作られた時代がありました。大きいギターは大きい音を出しやすいというわけで、安易に大型化した時代でした。

しかし、80年代に入ってから、無理に大きなギターより身体に合ったギターで楽々と弾いた方が伸び伸びとした演奏になり、音量についても別に問題はないということが判ったこともあって、650mmのギターがむしろ主流になりました。ただ、ここで一つの錯覚が生じました。弦長650mm、あるいはそれ以下が弾きやすいギターの前提条件になってしまったことです。弾きやすさに通じるギターの大きさが、弦長のみで判断されるようになりました。

弾きやすさとは、弦長以上にネックの形状(幅や厚さ)やボディーの大きさと厚さ、更に弦高や張力に左右されることを知ってください。例えば、650mmのラミレスより660mmのアグアドや657mmのオリベの方がずっと弾きやすいことをご存じですか? 女性、小柄な方、特に指の短い方ならともかく、平均的な体格の男性が弾くことを想定した場合、660mm位まではあまり問題にならないはずですので、弦長にこだわるよりも実際に弾き比べてみて、弾きやすいかどうか判断しましょう。